かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

無事之名馬

大きな病気を患うことなく、60年近く生きてきた。

丈夫な体に生んでくれてありがとう、と心から両親に言いたい。

元気、で思い出すことがある。

弟が結婚することになり、互いの親族が集まってホテルでのお食事会をやった時のこと。新郎新婦それぞれが自分の親兄弟を紹介する場面で、弟は少し緊張しながら「父です。父は読書や散歩が好きで・・うんぬん」と切り出し「母です。母はとても器用で、お料理も上手で・・・」と温厚な両親のもと、穏やかな愛情を注がれて育ったことを語った。そして、もう一人の弟については「兄はとても努力家で・・・で、音楽が趣味で・・」と人間的に優れた人物であることに触れ尊敬の念を醸し出した。

いよいよ私の番だ!何と言ってこの姉への尊敬と親愛の気持ちを紹介の言葉に織り込んでくれるのか。心拍数が上がり顔がこわばる。

「姉は、えっと、元気にしています!」

え?で?「で、姉の旦那さんです。いつもとても優しいです。」えーーっ?

弟にとって、私は元気だけが取り柄の姉なのか、彼なりの賛辞なのか、私が弟の顔を見上げた時には、既に新婦側の親族の紹介へと次第は進んでいた。

 

そういえば、20年近く前、「5つ指示しても3つのことしかやらない」と私の無能ぶりに苛立っていた上司が、1度だけ褒めてくれた。

「無事これ名馬だな」と。