かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

3本の樫の木

子どものころ庭にあった一本の木のことにふれた話を読んで、実家のことを思い出した。

小さな平屋、僅かばかりの芝生と植栽の庭。南のへりに背の高い樫の木が3本。真ん中が私の木、右側が上の弟の、左側は下の弟の。植っている木を勝手に姉弟でこれが自分の木だと決めていた(末の弟の分は余っていた左側があてがわれたにすぎないが)。

あの木たちはどうしているだろう。両親は2019年の秋にそれまで住んでいた家を手放して、私と弟が住む町に移り住んだ。それ以来、近くに行ったことはない。

すごく気になってGoogleMapの航空写真で実家があったあたりに指を置き、くいっと拡大してみた。あった。かなり解像度は低いが、家の形や緑色の庭がわかる。くだんの樫の木は・・たぶんこれだ。南側に並んだ3つの緑のかたまり。元気で植っていてくれていた!

芝生に伸びる木の影を見るに、撮影されたのは、よく晴れた日の朝だと思う。洗濯物が干してある。すでに家主が変わったあとかと思うが、見ていると、この屋根の下に、母と、まだ生きていた頃の父がいるような気がしてきた。
母は色えんぴつ画の練習か、手紙でも書いている。父は本を読んでいる。両親は、時折、会話を交わし、明るい庭を見ながらお茶を飲み穏やかな1日を送っている。
もう2度とやって来ない過ぎ去った時間。

映画メン・イン・ブラックの一場面を思い出した。トミー・リー・ジョーンズ演じる「K」が、秘密組織のエージェントであるが故にもう会うことが許されない恋人の家や姿を宇宙からの監視映像で見ている。切なかった。

 

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