かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

思い出

3本の樫の木

子どものころ庭にあった一本の木のことにふれた話を読んで、実家のことを思い出した。 小さな平屋、僅かばかりの芝生と植栽の庭。南のへりに背の高い樫の木が3本。真ん中が私の木、右側が上の弟の、左側は下の弟の。植っている木を勝手に姉弟でこれが自分の…

昭和も遠くなりにけり

先日、夫くんがYouTubeの歴史探訪的チャンネルを見ながらぽつりと言った。「昭和って、もう“100年前”なんだね・・・」えええ?!・・・昭和元年は1925年。なるほど、約100年前かあ。 「100年前」といえば私にとっては「明治時代」だ。ちょんまげを切ってザン…

寒い朝の湯沸かし器

寒い朝、キッチンに立って暖かいお湯に手を濡らすと、実家の冬の朝を思い出す。 高校生の私は、朝早く学校に行って自習するのが好きだった。というか、部活で疲れて夜は眠くなってしまうので早朝の教室が唯一のお勉強タイムだった。 朝まだ暗いうちに、起き…

最大静止摩擦力

記憶がどんな仕組みなのかわからないが、中学や高校の教科書に載っていたことを何の脈絡も無しに不意に思い出す。モヘンジョダロとかコロイドとか。 若干の脈絡に乗ってしばしば浮かんでくる単語もある。その一つが「最大静止摩擦力」だ。 中学校の理科か高…

童謡のダイナミズム

朝、夫が先に起きて身支度を始め、私がなかなか起きて来ない時、夫からの「寝室で童謡かけて」という指示により、私の枕元に置かれたオッケーグーグルが童謡を鳴らし始める。5歳児作戦だ。どういう選曲なのかわからない。先日までピアノのソロだったが、今朝…

イルカ・セラピー?

長く会社員をやっていると悲喜こもごもあるものだが、辛いことも過ぎてしまうと笑い話や先輩風を吹かせるネタにして、基本的にはいわゆる社畜生活を面白がってきたクチである。 ただ、一時期、ずいぶん前のこと(20年以上前?)だが、上司とソリが合わなかっ…

本、帰る

このたび夫の部屋から3冊の本が発掘された。というより救出され、持ち主である私の元へ帰還を果たした。 夫の部屋は、大切なものなのかゴミなのかわからないもの(私から見るとほとんど後者)で溢れかえっており、本棚にも二重三重、縦横ナナメに本などがぎゅ…

湯おけの下の誰かさん

学生時代にひとり登山で入山口のお宿に泊まったときの話。 早く着いたのでまずはお風呂に行った。誰もいない浴場は外の光で明るくて奥の方の窓辺に大きくはないけど気持ちよくお湯が満たされた湯船があった。 私は小さなイスに腰掛け、湯おけで湯船からお湯…

夏の日のあっぱっぱ

夏らしく暑い日が続いている。夏の休日が好きだ。 早朝のひんやりした空気、扇風機の優しい風、明るい光、濃い緑、蝉たちの大合唱、冷たいお茶のグラスにぶつかる氷の音、冷やした白玉団子と餡子の甘さ。 家にいる時の定番服は、薄い綿のサッカー生地ででき…

技術者冥利のカレーライス

夫は家事全般を率先してこなす。技術者なのでぴっちりこなす。 各種ゴミ出し日を把握し、正しい分別。洗濯機の洗剤の量には厳格だ。洗濯する衣類の量に合わせてメスシリンダーでも取り出しそうだ。翌日の天気予報を確認の上、脱水までか、乾燥までか判断しタ…

なべて怒りもつごときかほして

何故覚えているのかわからない。高校生の時の現代国語の教科書か何かに載っていたのか。なにがトリガーなのかもわからないが、ときどき頭の中に浮上してくる歌がある。 遮断機に堰(せ)かれるゆふべの群衆よなべて怒りもつごとき貌(かほ)して 木俣修『冬暦』 …

給食

朝のお弁当作り。ガラスのボウルにモヤシとゴーヤの薄切り、鰹節をかけてお醤油を少したらして電子レンジで1-2分。チーンと鳴ったら出来上がり。 扉を開けたら、モヤシの香りがむわっと鼻腔を刺激して、不意に給食のことを思い出した。 小学校1年生の頃、内…

あだんが浜の桜貝

父の転勤で小学校の4年生から卒業まで海辺の田舎町に住んでいた。 家から少し歩いたところに「あだんが浜」があった。本当にそんな地名だったかはわからない。子どもたちが「あたしたちの浜」という意味で単にそう呼んでいただけかもしれない。 浜の横を通る…

孤高じゃない人

学生時代、ワンダーフォーゲル部だった事もあり、新田次郎の文庫本を夢中になって読んだ。その中に「孤高の人」があった。もう、どんな物語だったのか忘れてしまったけど、主人公「単独行の加藤文太郎」の孤高を描いた物語だ。 ワンゲル部の活動では通常4~6…

マツダ ファミリアとキャラメルコーン

父はものすごく不器用で、運転免許の教習所に通っている時もかなり苦労しているように見えた。ハンドルをくるくるくるっと回す動作がよほど出来なかったと見えて、クッキーが入っていた丸い空き缶をひっくり返し、真ん中の1点に釘を打って短い角材の先端に緩…

海辺のとても古い家

父の転勤で、海辺の田舎町のえらく古い家に住んだことがある。10歳の頃なので、ほぼ半世紀前の話。 海岸から300mほど入った小道沿い、向かって左から、2階建ての主屋、トイレと洗面台がある屋根続きの平屋の離れ、その離れの一番右の端に付け足されたような…

マロン

夫婦してモノに愛称をつけがちだ。それなりに愛着を持って接しているとも言えるが、ただの癖。 昔、私の職場に給茶器が2台、西側と東側にそれぞれ置かれていた。一緒にお弁当を食べていた友人と「キューちゃん」「チャッキー」と命名し、ボタンを押して、お…

カトリック教会の鐘の音

育った町のカトリック教会の鐘の音を思い出した。 カラーン、コロンカラーン、コロンカラーン・・と高く乾いた音色で谷あいの町によく響いた。毎日夕方6時に鳴っていたと思うが、もしかするとお昼と日曜日の朝のミサの時間にも鳴っていたのを忘れているのか…

赤いお屋根のカトリック教会

実家があった町は、カトリックの方が多い土地柄だった。今思えば、日曜日の朝には近くの教会のミサに家族で行くような敬虔な信者さんも周りに少なくなかったような気がする。古くからそこに住んでいる方々で、いくつかの苗字の家々はほとんどカトリックだっ…

雨の朝

雨の朝だ。けっこう降っている。木々の葉を打つ音や不思議な薄暗さに誘われて、目の前にずっと昔の記憶が現れる。 たぶん小学校2年生くらいの頃。透明のビニールに赤い花模様がプリントされた可愛いカッパをもっていた。小さく畳んでいたものを、いざ雨が降…

機内食

近くに住む弟がたまったマイルで買ったのか、ANAの冷凍された機内食をくれた。私は仕事が長引いたときにチン!と手軽に食べたかったのだけど、夫がどうしても翌日がお休みの日の夕食としてゆっくりお酒と一緒に食べたいと言ってきかなかった。それで仕方なく…

社畜ここに極まれり

もう30数年間同じ会社で働いている。なんと人生の半分以上、会社員をやっていることに、今更ながらに驚く。 入社した時、会社ではWindowsもまだなくてDOS/Vマシン、フロッピーはうちわのような8インチ、オフコンの40MB(!)のハードディスクが増設されて大…

実家

私が3歳の頃から結婚するまで住んでいた実家はもうない。物理的な「家」は別の人が住んでいるけど今も在るし、「両親」は家を手放して長女・長男がいるこの街に2年前の秋に越してきて、高齢ながらも元気で近くに住んでいる。「もうない」のはこの二つのペア…

オートバイ

大学卒業間近の頃、オートバイの中型免許を取った。 会社に入って初めてのボーナス、これは寸志と言う形で支給された50,000円であったが、これを使ってヤマハのSRX250Fを買った。排気量250cc、 DOHC単気筒エンジン、スリムなタンクにヤマハの音叉マーク、ハ…

虫の音

照明を消して「オッケーグーグル、おやすみ」と言うと、女の人の声で「おやすみなさい。〇〇さん」、続いて明日の天気が告げられ、朝の目覚ましアラームの時間を尋ねられるので「5時」などと答えるルーチン。少しの間のあとで、虫の音がフェードインしてくる…

山なし谷なし

数年前、ライフチャートというものを書いたことがある。横軸が時間(年齢)、縦軸が充実度(真ん中がゼロで上下にプラスとマイナスの象限がある)、自分が生きてきた人生を振り返り、その時々の充実度を曲線でつなげて描いて自己理解を深めよう、というもの。 書…

記憶のかけら

時間は、記憶のかけらをふるいにかける 記憶は、最初は大きな塊だったのに ふるいに乗せられ、揺らされていくうちに だんだん割れたり崩れたり 小さなかけらになっていく 角がとれて丸くなったり、磨かれて光り出すものもあるけど 最後はさらさらと砂になっ…

思い出の棚卸し

唐突に始めたブログだが意外にも続いている。何故、何を書きたいわけでもなく、何の方向性もなく始めて、思いついたことをただ書いている。 そして気づいた。「思い出話」が多い。思い出の棚卸し状態だ。 なんとなく感じていることを言葉や文章にすると、自…

我が家のお弁当

1980年代後半に結婚してから3年ほど、共に会社員である自分と夫のお弁当を作っていた。その後、私の仕事が外に出ることの多い営業に変わり、接待や出張などで忙しくなってお弁当作りは断念。私は外食、夫は会社の食堂で昼食を取るようになった。 それからま…

アマリリス

真っ赤なアマリリスが咲いた。 植えっぱなしの球根で、もう何年も咲いていなかったと思うのだが、今年は周りの雑草を取ったタイミングが良かったのか、大きくて、深紅の、私のイメージ通りのアマリリスが咲いた。 今は無き実家の庭で咲いていたものと同じだ…