我が家の庭に、美しく強いバラ、ピエール・ドゥ・ロンサールが2株。
今年もころんとしたとても上品なピンクの大輪が咲いてくれて、ぼさぼさの庭の品格がいっぺんに上がった。
でも、今年は花数が少ない。
冬の間の剪定や誘引や施肥といったお手入れを私が怠ったからだ。見様見真似のなんちゃってお手入れでも、ちゃんとやった年はそれなりに咲く。
「バラは応えてくれるわよぉ」と友人が言っていたことを思い出す。
彼女の庭の幸せなバラたちは優しく手入れされ、慈しまれた分、春には美しい花弁や香りで彼女を楽しませたに違いない。その傍で、彼女は丁寧に焼いたケーキとお茶、そして何より穏やかな笑顔で家族との幸せなひとときを過ごしていたのだと思う。
そんな彼女の庭に行きたかったなあ。行こうと思えば行けたのに、いつでも行けると思って実行しなかった私。彼女はもうこの世にいない。それに残された家族ももうその家にはいない。
彼女が育てていたバラはどうなっているだろうか。
今年も誰かの愛情に応えて美しく咲いている、と思いたい。