台風14号が過ぎて、昼過ぎから晴れ間が見えだした。最高気温は26℃。ずいぶんと涼く感じられるようになった。気持ちよくて、うとうとしながら本を読んでいたら、ウオーキングに出かけるのが夕方になってしまった。
カンカンカンと遮断機の音に振り向くと、やがて2両編成の列車がやってきて、川にかかる小さな鉄橋をごとごと言わせながら渡って行った。
その向こうの雲間から柔らかな夕陽がさして、黄味がかった光が、緑色の田んぼの上に筋を描いていた。台風で少しなぎ倒されてはいるが、たわわに実った稲の横に彼岸花の赤い列のコントラスト。背景が、切り売りされた田んぼに新しく建てられた今風の戸建ての並びってのはちょっとざんねん。
薄暗くなった帰り道、家々の明かりがぽつぽつ灯って、夕餉の煮炊きの匂い、そして仏壇のお線香の香り。まだ遠くでツクツクボウシが鳴いている。
街路樹の枝葉のシルエット越し、山の稜線の上に満月にちょっと足りない丸い月が見える。昔読んだ童話の挿絵が浮かぶけど、本の題名は思い出せない。鼻の奥にその頃の空気を感じるんだけど。
懐かしいなあ。昭和の風景だなあ。もう、秋だなあ。