私の「マゴの手」はドイツ製である。
夫から50歳の誕生日プレゼントとしてもらったものだから、もう10年近く使っている。
その頃、まさしく「五十肩」と言うべきか急に右肩が痛くて腕があげられなくなった。ブラジャーを背中で留めるのも、汗をかいたTシャツを脱ぐのも、この、なぜだか急に襲ってきた右肩の痛みと闘わなければならなかった。何より背中が痒いときはもう、闘うすべも無く、どうにかしてくれ〜と発狂しそうだった。それを見かねた夫が親切にも掻いてくれて、暫しのヘブンに浸っていたのだが、さすがに面倒臭くなったのか、密林だかどこかから探し出したらしくプレゼント包装されて届いたのが、この素晴らしいマゴの手なのだ。
全体が木で出来ていて小さいけど掴みやすい持ち手、緩やかに弧を描く50cm程の棒の先に、ちょっと荒削りながらも可愛い「孫」のおてて。
程なくストレッチポールやプールが奏功してか五十肩は治ったのだが、その後もリビングの本棚の取っ手が彼の居場所となった。
絶妙な掻きごこちに「さすがドイツ製だわ」と、これを生み出したドイツの方を向きドイツ国民に感謝と尊敬の念を送りながら背中を掻き、今日も幸福を享受しているのである。
この記事を書きながら初めてこのマゴの手をググってみたところ、REDECKER(レデッカー)という1936年に創業されたドイツの老舗ブラシメーカーのものらしい。
「材料となる良質な天然素材は、環境やリサイクルまでも考慮し調達されています。それらを丁寧に熟練の職人が製品に仕上げていき、できあがった製品はどれも機能的に優れておりヨーロッパなどでも高い評価を受けています。」
うん!間違いないっ!