かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

小さなパンに救われたこと

出張帰り、JRを降りて、自宅に向かうバスに乗る前にパソコンを開きたくて、パン屋さんのイートインに入った。

小腹が減っていたのでコーヒーだけでは我慢できず、つい大好きなナッツが乗った小さなタルト風のパンも一緒に頼んでしまった。

パソコン作業をあらかた終えて、パンをかじる。期待していたナッツの香ばしさもバターの香りも無く、ぽそぽそだった。その落胆のかたまりをコーヒーで胃に流し込みながら、コーヒーだけにしておけばよかったなあと後悔してお店を出た。

 

私が乗るバスの路線は駅前のバスセンターが始発である。私がお気に入りの一番後ろの左端の席にオシリを落ち着けるとすぐに、ちょっとぽっちゃりした大柄の高校生らしき若者が私の右横にどさっと座った。

その瞬間に察知した。これは揚げたての塩気の効いたフライドポテトの匂いではないの。

大柄ぽっちゃりくんは、揺れるバスの最後列で控えめに袋からポテトを食べていたが、ポテトの芳しい香りは情け容赦なく拡散して私の鼻腔で大暴れしていた・・・。

 

私はあの小さなパンに感謝した。

もしも、夕食前の空腹の身でここに座っていたら! 溢れ出す唾液、胃液、ため息と戦い、大柄ぽっちゃりくんを呪いながら、ポテトが食べ尽くされるまで、食欲をそそってやまない匂いの生き地獄を耐え忍ばなければならなかっただろう。

あのぽそぽそとしたパンがコーヒーの水分でいい具合に胃の中で膨らんでいたおかげで、窓の外のオレンジ色に輝く夕陽を愛でつつ穏やかに家路につくことができたのだった。パンよ、ありがとう。

 

味はぱっとしなかったけど、とても大きな価値を秘めたパンだったんだなあ(って、言いすぎか~)。

 

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