電車に揺られつつ、ドアの上部に貼られている路線図を目で追いながら「おや」と思った。私って、終点にばかり住んでいるなあと。
実家は、JRの本線の終点がある市内にあった。JRの終点では線路が一旦くにゃりと持ち上がってそこで切れている。もうその先に線路の続きはない。
結婚して移り住んだ町のアパートはバスの終点だった。それも右に行く系統も左に行く系統もどちらも終点、ダブル終点だった。
家を建てて住んでいるここも、最寄駅はローカル線の終点である。
無意識に選んだのかもしれない。
曲線やまあるい路線の通過点はたくさんあるが端っこの点は一つ(もしくは二つ)しかない。スペシャルな場所なんだ。なにか安定感を感じるし。
バスや電車の行き先表示に記載されている場所であり、車内のアナウンスも「次は終点、○○です」だからつい「終点」と言ってしまったが、くるりと車体の向きを変える(電車だったら運転手さんが最後尾の運転席に移動する)「折り返し地点」でもある。そして折り返したその時からそこは「出発点」になる。
終点だけど見方を変えると始点の町。どん詰まりの最果て感もあれば、前に続くだけの未来が始まる町。やっぱりスペシャルだ。ちょっと嬉しい発見。
何より電車やバスに乗る身としては、眠りこけても乗り過ごす心配がほぼない。また、ほぼいつも時刻表通りに発車してくれるのはありがたい。ほぼ、いつも。