近所のお散歩に出発した時は、今どきの季節の割には冷たい北西の風が新緑の枝をかなりの圧で揺らしていたものの、青空と明るい日差しがあった。
いつもより少し足を延ばして、初めて通る道を選び、探検さながらに住宅地の中を分け入って進んでいた時、ぽつり。ぽつ。ぽつ。ぽつ。
程なく、台風がやってくる前のような横殴りの雨。
哀れ、傘も持たない散歩人は、慌ててややあてずっぽうに家のある方向に歩を速め、やがてますます雨らしく降る雨に小走りとなってしまった。
「楽しい!」
髪から水が滴るほどに雨に濡れることなんてめったにないんだもの。
「へんなやつ!」
子どものようだと?
ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ らんらんらん・・・
いや、そんな可愛い雨ではなかった。
でも、ちょっとした嵐も楽しめる大人になったから。