かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

月のウサギさん、無人島の夫くん

ときどき、お散歩の途中で車道の真ん中を這うカタツムリを見つけては葉っぱの上に移動させたり、メダカ鉢に浮いてじたばたしているカナブンを拾い上げたりすると、それを見ていた夫くんは必ずこう言う。
「あとで、お礼に私を焼いて食べてください、ってたくさんやってくるよ。」
タツムリが?カナブンが?・・・想像したくない光景である。

 

「鶴の恩返し」「笠地蔵」と月のウサギの逸話が夫くんの中でごっちゃになっているようだ。前の二つは良く知られた民話。助けてもらった鶴が自分の羽で織物を紡いて恩返し、雪の日に笠をもらったお地蔵さんたちがお礼を届けて恩返し、というもの。
月のウサギのお話しは「チコちゃんに叱られる」で初めて知ったのだが、インドに伝わる仏典『ジャータカ』にある物語(捨身月兎)がベースなのだそうだ。


猿・犬・カワウソ・ウサギの4匹が、お腹をすかせた修行僧を助けるために食料を差し出す。猿はマンゴー、犬は落ちていた肉、カワウソは魚。草しか用意できなかったウサギは火を焚いてもらい「私を焼いて食べてください」と火の中に飛び込む。実は修行僧は仏教の神・帝釈天で、自分の身を投げ出しても人を救おうとしたウサギを助け、その美しい心を後世にも伝えたいと、月にウサギの絵を描いた・・・。

 

ずいぶん前(まだスマホがない時代)、パソコンのおもしろプログラムで自分がどんな成分でできているのか「成分分析」するのが流行った。名前を入力すると、例えば「野心50%、優しさ30%、友情20%」のように分析結果がでてくる(実際はわけのわからない成分も表示された)。友達の名前を入力してみては、出てくる分析結果を面白がった。

そして、我が夫くんが自分の名前を入力したところ・・・「犠牲98%  △△(忘れた)2%」! 表示された結果があまりにも極端で、かつ、当たってる〜と大笑いした。この時以来、夫くんは自分の主成分が「犠牲」であることを自覚して、ますます甲斐甲斐しくなったような気がする。

 

無人島に二人で流れ着いて、食べる物がなかったら、夫くんはウサギさんのように「私を焼いて食べてください」と我が身を犠牲に差し出しそうだ。だけど、残念ながら、夫くんは痩せっぽちで、焼いても食べるところなんかほとんどない。私の方が脂ものって美味しそうだから、その時は私を焼いて食べてもいいよ、と言おう。

(・・・って、言えるかなー??? 言えないだろうなあ。私の成分に「犠牲」は含まれていないもの)