かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

重たいおしりを動かすパワー

社会の中で人々の共感を得て、行動してもらったり、行動しないでもらうのは、大変なことだ。手洗いをしましょう、会話の時はマスク着用願います、不要不急の外出は自粛しましょう、などなど、どれもそれなりの根拠があって人々に呼びかけていることだと思うが、より多くの人に浸透させるにはかなりの労力やコストがかかる。

 

以前読んだ「事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学」(ターリ・シャーロット 著)によると、いくら事実(根拠となるデータ)を示しても 相手は自分の先入観(「事前の信念」)を裏付ける証拠なら即座に受け入れるが、反対の証拠は冷ややかなものらしい。確かに。

例えば、マスクを付けようとしない人を説得するためには、共通の動機に注目すること、相手の感情に働きかけることが必要らしい。「マスクしけければ感染率○○%だからマスクすべし」より「あなたもわたしも感染したくないよね〜。家族にも心配かけちゃうし。」ってところか。また、何かをやって欲しい時はご褒美、やって欲しくない時は警告が有効らしい。更にポジティブな表現がよいらしいので「マスクでみんな笑顔!」みたいな感じだろうか。

 

去年、ニュースに「ナッジ」というものが取り上げられていた。行動科学の知見から、人が自発的に行動しやすくするアプローチのことらしい。並んでほしいところに足跡マークを貼るのもそれのようだ。

記事にあった「史上初、テレビの前でゴロゴロしているだけで人類を救える」はインパクトあるナッジだった。「外出自粛」より、私にもできる大事な行動は何か教えてくれた。そして、私はそれをしっかり実践しゴロゴロして人類に貢献した。


「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」(オードリー・タン著)に「 Humor over Rumor(ユーモアは噂を超える)」というユーモアによってフェイクニュースを無力化するためのアイデアの話が載っていた。トイレットペーパーの買い占めが起きそうになったとき、行政院長が「誰でもお尻は一つしかない(だから安心してください)」というキャッチフレーズで騒動を収めた、というもの。こうした台湾の感染対策で大事にしているのが「fast(速さ)」「fair(公平さ)」「fun(楽しさ)」なのだそうだ。

 

こうしてみるとポジティブなナッジやfunなメッセージ、総じてユーモアには社会をより良い方向に動かして行くパワーがあるなあとあらためて思う。クスッと漏らす笑いでギスギスした感情や不安から解放されて冷静さが戻ってくるのだろう。

 

ある日、家事に勤しむ夫を尻目に、のんびりくつろいでいる私に夫が言った。

「ねえ、ペット以上のことをしてね。」

え?ペット?可愛い?私のこと?と勝手に自分で自分にご褒美を与え、「可愛いだけじゃダメなのね。わかった、わかった、お片付けもするわー」と寝そべっていたソファーから機嫌良く立ち上ったことは言うまでもない。

これは行動科学の活用だったのか。funのパワーは、私の重たいおしりをも動かしたのであった。

 

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