かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

技術者冥利のカレーライス

夫は家事全般を率先してこなす。技術者なのでぴっちりこなす。

各種ゴミ出し日を把握し、正しい分別。洗濯機の洗剤の量には厳格だ。洗濯する衣類の量に合わせてメスシリンダーでも取り出しそうだ。翌日の天気予報を確認の上、脱水までか、乾燥までか判断しタイマーをセット。乾いた洗濯物は私のもの以外、毎日きちんと、一応「こんまり」方式でしまう。床の掃除機かけはルンバくんにお願いしているが、およそルンバブルな状態ではないので、まずは床に置きっぱなしのバッグなどをソファーの上に退避させるところから始める。ルンバくんで手薄なところは自ら掃除機を出してきて補完。会社帰りにスーパーで食材を買ってきてくれるが、豆乳が安いお店、5%オフの日、各種商品の底値などの知識が豊富である。コンポストに投入した生ゴミの分解速度にも注意を払う。気温に応じてお風呂の温度を微妙に調整してお湯はりボタンを押している。これらのスケジュール管理、作業効率、アウトプットの質、どれもハイレベルである(私が行うより、ずっと)。

 

ただし、お料理だけは、カップ麺のお湯を沸かす程度しかやらない(もちろん3分間の測定は厳格だ)。が、それでよい。お料理は私の出番だからだ。私はお料理という我が家で最も権威ある家事を執行しているというだけで、ほかの労働への免罪符が与えられているのである(いつの間にか勝手に権威づけしただけとも言える)。

 

だがある時、理由は忘れたが、夫がカレーライスを作ったことがあった。市販のいつものカレールー(確かLEEだった)を使い野菜とお肉が入った普通のカレーだったが、これがものすごく美味しかった!スパイシーでコクがあり野菜の甘みが感じられた。

「ちょ、ちょっとこれ、どうやって作ったのっ?!」「箱に書いてある通りに」

 

すべからく健康のためにと野菜は多め、長年培われた主婦のカンやセンスと知見を活かし、サイコーの味を求めて、ウスターソース、ケチャップ、しょうゆ、赤ワイン、ニンニク、果てはチョコレートまで、あらゆるものを投じてきた主婦のプライドが打ち砕かれた。

 

カレールーの箱に記載されている通りの量のジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、お肉を手順通りに炒め、指定された量の水を加え、記載されている通りの時間をかけて煮こむ。余計なものを足してはならない。省いてもいけない。

 

思えば、箱の裏のレシピは、食品メーカーの開発部門の技術者が研究に研究を重ねて到達したベストなマニュアルなのだ。それをうちの技術者が忠実に再現したということか。美味しいはずだ。技術者冥利。

 

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