かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

マロン

夫婦してモノに愛称をつけがちだ。それなりに愛着を持って接しているとも言えるが、ただの癖。

 

昔、私の職場に給茶器が2台、西側と東側にそれぞれ置かれていた。一緒にお弁当を食べていた友人と「キューちゃん」「チャッキー」と命名し、ボタンを押して、お茶を入れていただいていた。

そもそもキューちゃんとチャッキーが配属されるまでは、昼食どきになると女子社員が、周りの人の分のお茶を入れていた。そんな時代だった。

 

5年ほど前、災害などで停電が発生した時のリスク回避策の一環で、電気を使わないですむ石油ストーブを買った。リビングに置くと対流式の形はノスタルジックで可愛いのだが、灯油を18Lのポリタンクから一旦小さめの器にとって、リビングに持ち込まなくてはならない。白いプラスチックのオイルジョッキは買ってきたその日に黒マジックで両目が書き加えられ「ジョッキー」と命名された。

ジョッキーは帽子の部分から灯油を入れられてリビングに運ばれ、30cmほどの鼻の先をストーブの給油口に突っ込んで灯油を流し込むのが仕事だ。

前出の友人から「ジョッキー?30年経っているのに、チャッキーの時と命名の思考回路が同じね」と笑われた。

 

このたび、夫が購入した中古車は夫により「マロン」と名付けられた。

マロンは、とある若い夫婦の家で可愛がられていた小さなウサギの名前だ。やがて夫婦には赤ちゃんができた。しばらく会わなかったのだが、あるときばったり旦那さんと顔を合わせたので、「マロンは元気?」と尋ねた(さすがにウサギより先に人間の赤ちゃんのことを話題にしたとは思うが記憶にはない)。

返事はショッキングなものだった。赤ちゃんが生まれたので、マロンは近くの小学校にもらわれたと。あのか弱い小さなマロンが、ふわふわの毛をまとい、何不自由なく愛されてきた、あのマロンが!荒くれ者、やさぐれ者がたむろする吹きざらしのウサギ小屋に放り込まれたなんて!

その後、何年も経ってからだが、この夫婦が離婚したと風の噂に聞いた。

 

さて、なぜうちの車が悲劇のウサギ、マロンの名を冠するようになったのか。

クルマ屋さんによると、車マロンは前のオーナーさんから、ちゃんとガレージにいれてもらい、たいそう大事に扱われていた「箱入り車」だったらしい。それが、我が家に来た途端、野ざらしざらし、更には情け容赦なく鳥さんのフンにみまわれる厳しい環境にさらされることとなった。

夫は新しくきた愛車の境遇をウサギのマロンの身の上に重ねたのだろう(わたしが話したウサギの話を夫が覚えていたことは驚きだが)。

だが、もしかしたら、夫にとってウサギのマロンは「厳しい環境でもたくましく生き抜き、仲間たちに囲まれて幸せな一生を送る、愛と希望の物語」のイメージなのかもしれない。

 

または、マロンの悲劇を繰り返さないために「カーポートつけようよ~」という私への無言の圧力か・・・。

 

ともかく由来はどうであれ、マロンとの安全で楽しいカーライフをお願いしたい。

 

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