かぜ・そら・とりのブログ

気ままに、のんびり。

昭和も遠くなりにけり

先日、夫くんがYouTubeの歴史探訪的チャンネルを見ながらぽつりと言った。
「昭和って、もう“100年前”なんだね・・・」
えええ?!・・・昭和元年は1925年。なるほど、約100年前かあ。

 

「100年前」といえば私にとっては「明治時代」だ。ちょんまげを切ってザンギリ頭を叩いて文明開花の音を鳴らしていた時代である!昔々の歴史の霞の向こうの時代が「100年前」のはずなのだけど・・・

そうか。「昭和」はもう遠い昔なんだ。

私が明治を見る目で令和を生きる若者たちは我が昭和を見ているのか。

「十年一昔」っていうくらいだから、「百年」は「大昔」。昭和も遠くなりにけり、である。

 

スマホやパソコンを使ったりAIに話しかけたりして、一端の現代人を気取っているが、私が生まれたのは、終戦からたったの17年後の昭和37年。幼い頃は周りにまだ戦争の名残があった。


男の人が二人、白い服(着物だったかもしれない)、時には軍服にゲートルを巻いた姿だったように思う。悲しげな音色のアコーディオンを弾いていたり、その傍らで道に敷いたゴザに両手両脚をついてじっと顔を下に向けていた。片足の人もいた。彼らは小さなお椀を置いてお金が投げ入れられるのを待っていた。
小さな私はよくわかっていなかったが親から「戦争から帰ってきた人」と教えられた。復員兵だった。

若い人たちも歴史の教科書で知っている太平洋戦争。私はまだ生まれていなかったけど、これも昭和の出来事。私には教科書の字面だけではなくて、ちょっとリアルでもある。

3月なのである。

長らくブログをご無沙汰してしまった・・・。
季節は流れ、早3月なのである。


昨年5月に60歳になる直前は、「ロクジューだよ!還暦だよ!」と自分的に大騒ぎした感があった。ところが、ひとたびなってしまうと、敷居を越して一区切りついたことにすっかり落ち着いてしまったのか、ブログを書くフデも止まり、ぼーっと過ごしてしまった。

 

そして、また、今度は本当に人生の節目と言えるであろう、いや、ちゃんと「節目」と認識すべき「定年退職」の日が今月末に迫っている。

とはいえ、一旦退職はするものの4月から嘱託社員として同じ部署で同じように働くことにしているせいか、またしてもふわふわと同じ轍を踏んで行きそうだ。

 

そうならないように、なにかもっと節目感を盛り上げていかねば。

旅行? お食事会? 記念品?
髪を切る?(それより金髪にでも染めるか?いっそ白髪か?)
整形?(憧れの二重瞼に?それより眼瞼下垂対策か?)

悩ましい。今、この時期にやっておくべき何か大事なことを忘れていやしまいか。


そうこうしている中、会社の人事部門から「退職にあたっての説明会」の日程調整メールがきた。不覚にも不意をつかれ、ちょっと節目感でてきた・・・。

「三種の神器」

思えば、2005年ごろから腰と連動して股関節が痛い。特に右脚。ハイヒールや長時間足を組んでパソコンに向かっていたのが良くなかったのだと思う。あまりに痛い時は整形外科に行ったこともあるが、日頃はストレッチとプールでのウオーキングなどで長年どうにか“だましだまし”やってきた。

 

この2年、コロナ禍でプールに行かなくなったことや、在宅勤務で運動が足りていない(通勤だけでも私にとってはかなりの運動量)せいか、はたまた加齢のためか、以前には無かった痛みが出てきた。脚を組もうとすると両脚の付け根がとても痛い。今回の痛みはかなりやばい感じがする。腰もやばく固まって、まさにロコモティブ・シンドロームの入口だ。

 

そこで、じっと座りっぱなしはまずかろうと、在宅勤務中は椅子をバランスボールに変えたり、机の上に小さなテーブルを置いてなるべく立ったまま仕事するようにした。寝る前はストレッチポール(五十肩には絶大な威力を発揮した)で背中と腰を伸ばす。

 

・・・それでも大した効果を感じるに至らず、このたび昭和の香り高い「ぶら下がり健康器」を導入した。1970年代に「ただぶら下がるだけで健康になる」と大はやりだった健康器具。腰が脳に対して指令を出したかのように、なぜか「これだわ!」と突然欲しくなった。今の世に売っているのか?と思ったら、Amazonにちゃんとあった。大きな物体だしちょっと逡巡したが、「使わないときはハンガーラックに」の一文が目に留まり、安心して購入した次第。

 

以前から頼りにしているバランスボール、ストレッチポールにぶら下がり健康器が加わり、この「三種の神器」で、股関節痛や腰の違和感からの脱却を目指す。

 

夫くんは「早く病院に行ったほうがいいんじゃないの?」と心配してくれているが、この頃せっせとこれら器具を使っている私をみて「ころがったり、ぶらさがったり・・・」と小さく笑う。なにか動物を観察するかのような視線を感じる。

60歳になった。

この5月、60歳の私になった。
誕生日には夫くんと会社をお休みして、郊外の海辺のオーベルジュに車で出かけた。夫くんからのお祝いランチと花束(真っ赤!)のプレゼントに興奮し感謝・感激した。LINEなどで友人たちからもお祝いのメッセージをいただいた。

 

まさにHappyなBirthdayだったが「60歳になる日」に構えすぎていたきらいがあったせいか、その日は平和で楽しい“普通の”1日だった。今日から中学生とか、今日は結婚式とかいう節目とは違うんだな。私の外部環境的には私が昨日は59歳で今日から60歳だなんてわからないし、バス代が大人料金になるとか、名字が変わるとかそんな変化もないし。

 

と、思っていたら夫くんから「50代はどうでしたか」と聞かれて、へっ?と言葉に詰まった。構えていたワリにはまるで内面的な節目を形成できていないことに気づいた。50代かあ。

 

50歳になった年の2012年は東日本大震災の翌年で、終盤にはコロナ禍、最後にロシアのウクライナ侵攻。深刻な出来事とそれによるパラダイム・シフトが相次いだ。身の回りのキーワードは働き方改革SDGsカーボンニュートラル、SX、DX・・・と新しい課題や価値観に揉まれた。個人的には初めての出向、その後復職。初めての在宅勤務でテレワーク。そんな中、長い会社生活で当たり前のように見栄や強がりにまみれていた私の一時代は終わっていった。


プライベートのトピックスは、“趣味探し”の中で無謀にも夫くんと一緒に音楽を始めたこと。久しく途絶えていた学生時代の友人との交流が思わぬことから再開したこと(LINEやSNSのおかげ)。これまで全く知らなかった世界の人たち、ずっと昔からの友人たちは、これからますます大切な存在になるんだろうなあ。
悲しいこともあった。義理の妹、親しい友人との早すぎる別れも50代だった。

 

行く先も決めきれないまま、小舟で急流に流されてきた感あり。流れに任せて、ただふなべりに掴まっていた10年間だったかも。小舟に夫くんも一緒に乗っていてくれたことが嬉しい。飛ぶように過ぎていく景色をそれなりに楽めたように思う。

 

さて60代。”会社員”は長くてもあと2年足らず。そのあとは・・・風に吹かれ、空を眺め、鳥たちを愛でる。読んだり、書いたり、学んだり。夫くんとの暮らしが健康で穏やかである以外、何を望むでもなく、何があるわけでもないが、新しい10年はなんだかとても楽しみではある。

私たちも、私たちが乗っている小舟も老朽化していくが、急流下りを終えた先、流れの穏やかな大きな川をゆっくりと下って行きたい、と思う。

 

ブログのプロフィール、書き換えなくては。

 

 

kazesoratori.hatenablog.com

 

kazesoratori.hatenablog.com

 

kazesoratori.hatenablog.com


査定よ、さらば。I'm free!

先週、会社の同じ部門のセンパイとチャットしていて、イイこと(?)を聞いた。センパイは2つ年上で、定年退職後そのまま嘱託社員になって現在2年目。
つい会社や上司の愚痴に話が及び「こんなこと言ったら査定に響くのかしら〜」と冗談半分(本気も半分)で書いたら「ことりさんは定年間近だから、もう査定されることないでしょ」とお返事が返ってきた。

 

え?あ!! 考えてもみなかった!

いわゆる人事考課、つまり私の働きっぷりに応じた今年度のお給料の基本の金額は3月、ボーナスの基本も5月に既に査定され決定済みなのであった。
会社がちゃんと存続し、私がよほどの懲戒などの事態を引き起こさない限り、お給料を減らされたり、ボーナス召し上げという事にはならないのだ。逆にどんなに素晴らしい成果を上げても不変。そして上司からの覚えがめでたかろうが、心証を害することがあろうが(いったいどんな評価基準?)関係ない。さらには、退職金の額だって既に決まっている。

 

日頃、上司からの査定を気にして仕事しているわけではないと思ってきた。お客さまからの評価、チームで取り組むイベントの成功、自分で立てた活動計画の進捗などで、自分なりの満足感を得られれば、査定は後からついてくると思ってきた。が、もう査定されることはないとわかった瞬間の、長年の見えない足かせが外れたようなこの解放感はいったいなんだ?? 「足かせ」は減点への不安や、より良く見せたいと自分に課したプレッシャーだろうか。


所詮は社畜。自分の仕事の出来不出来を評価する上司がいて、それがお給料やボーナスに反映されるってこと、気にしてたんだなあと今さらながら改めて思う。

 

査定されることのない定年前社員。自分の信念と正義に従って好きなようにやっちゃうゾ。年齢は一般の社員の頂点を極めている。管理職だって社長だって年下、新入社員なんて孫の歳。おばちゃんパワーと相まって、コワイものなしである。

 

月のウサギさん、無人島の夫くん

ときどき、お散歩の途中で車道の真ん中を這うカタツムリを見つけては葉っぱの上に移動させたり、メダカ鉢に浮いてじたばたしているカナブンを拾い上げたりすると、それを見ていた夫くんは必ずこう言う。
「あとで、お礼に私を焼いて食べてください、ってたくさんやってくるよ。」
タツムリが?カナブンが?・・・想像したくない光景である。

 

「鶴の恩返し」「笠地蔵」と月のウサギの逸話が夫くんの中でごっちゃになっているようだ。前の二つは良く知られた民話。助けてもらった鶴が自分の羽で織物を紡いて恩返し、雪の日に笠をもらったお地蔵さんたちがお礼を届けて恩返し、というもの。
月のウサギのお話しは「チコちゃんに叱られる」で初めて知ったのだが、インドに伝わる仏典『ジャータカ』にある物語(捨身月兎)がベースなのだそうだ。


猿・犬・カワウソ・ウサギの4匹が、お腹をすかせた修行僧を助けるために食料を差し出す。猿はマンゴー、犬は落ちていた肉、カワウソは魚。草しか用意できなかったウサギは火を焚いてもらい「私を焼いて食べてください」と火の中に飛び込む。実は修行僧は仏教の神・帝釈天で、自分の身を投げ出しても人を救おうとしたウサギを助け、その美しい心を後世にも伝えたいと、月にウサギの絵を描いた・・・。

 

ずいぶん前(まだスマホがない時代)、パソコンのおもしろプログラムで自分がどんな成分でできているのか「成分分析」するのが流行った。名前を入力すると、例えば「野心50%、優しさ30%、友情20%」のように分析結果がでてくる(実際はわけのわからない成分も表示された)。友達の名前を入力してみては、出てくる分析結果を面白がった。

そして、我が夫くんが自分の名前を入力したところ・・・「犠牲98%  △△(忘れた)2%」! 表示された結果があまりにも極端で、かつ、当たってる〜と大笑いした。この時以来、夫くんは自分の主成分が「犠牲」であることを自覚して、ますます甲斐甲斐しくなったような気がする。

 

無人島に二人で流れ着いて、食べる物がなかったら、夫くんはウサギさんのように「私を焼いて食べてください」と我が身を犠牲に差し出しそうだ。だけど、残念ながら、夫くんは痩せっぽちで、焼いても食べるところなんかほとんどない。私の方が脂ものって美味しそうだから、その時は私を焼いて食べてもいいよ、と言おう。

(・・・って、言えるかなー??? 言えないだろうなあ。私の成分に「犠牲」は含まれていないもの)

晴れた日にはケーキを焼いて

自宅の屋根には太陽光発電所が乗っている。
10数年前に設置した頃、余剰電力の買取価格は48円/kWh。「昼間に発電した電力を極力売って、夜22:00から翌朝8:00までの安い電力を使う」というのが「お得」とされた。

 

我が家では電気代が高い8:00から22:00までを「ご法度タイム」と呼んで、大きな電力をくうエアコンやオーブン、食器洗浄機、洗濯・乾燥機などはできるだけ使わないようにしている。

夜中もしくは早朝、ご近所に家電の運転音を響かせる。お菓子を焼くのも夜中。真夏でも昼間はあっぱっぱなワンピースに扇風機のみ。冬の昼間はトロ火の灯油ファンヒーターと湯たんぽ、ひざ掛け、ヒートテックでしのぐ。

こうした心がけに加えて、コロナ前はご法度タイムに家にいることが少なかったため、年間10万円近く売っていた。

 

だが、数年前に電力買取の優遇期間が終了して、今では買取価格は7円/kWhに低下。

先般、今更ながらの家族会議で「少しでも売電するのに越したことはないが、意図して余剰電力を増やすこともなかろう」ということになった(満場一致)。

特にエアコンについては、在宅勤務の集中力にも影響するので、使わざるを得ないし。

それに、お天気が良くて発電量が多く、エアコンも使わない季節(まさに今!)はご法度タイムに好きなだけ(?)オーブンを使ってよいってこと!


だから、晴れの日は大好きな焼き菓子を焼く日。チーズケーキ、シフォンケーキ、バナナケーキ、スコーン。それからタルト各種、マフィン各種。我が家の焼き菓子はクリーンな電力でできている。お日さまからのプレゼントだ。

 

1日で食べ切らなかった分は、切ってラップで包んで冷凍する。休日の朝のおめざに、食事のデザートに、ワインのお供に、冷凍室を開けて「どれにしようかしら」と選ぶ。軽く電子レンジで解凍してオーブントースターで数分。マフィンなどは焼きたてのカリっと感が戻って美味しい。チーズケーキは半分凍ったままでもイケる。手作りスイーツならではの素朴感、安心感に(自己)満足もひとしおである。お日さま、ありがとう。

 

ふと気づけば、砂糖とバターの消費量がハンパない。そういえば・・・。来週、会社の定期健診があるんだっけ・・・。

 

kazesoratori.hatenablog.com

 

 

kazesoratori.hatenablog.com